
【文芸】山本周五郎賞受賞の白石一文さん 評価された大人の思索 [06/01](11)
- 1 ◆GinGaOoo.. @銀河φ ★ sage 2009/06/01(月) 16:13:08 ID:???0
- ◇知的快楽呼ぶ、死に縁取られた物語
第22回山本周五郎賞(新潮文芸振興会主催)は白石一文さんの長編小説『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』
(上・下、講談社・各1680円)に決まった。真っ向から現代人の生き方を問う思索的な作風が、大人の読み物として
高い評価を受けた。熱心な読者を持つ白石さんの作品群が、改めて注目されるきっかけになりそうだ。【重里徹也】
今回の受賞作は1068枚の長編小説。週刊誌の辣腕(らつわん)編集長を主人公にしている。
43歳の彼を視点にして、複雑な現代社会を示すような人間模様が繰り広げられる。
作品の冒頭に描かれるのは、主人公とグラビアアイドルの性交渉の場面だ。
主人公は、雑誌に彼女の写真を掲載するのを条件に関係を持った。
どこか索漠としたセックスが小説全体の基調を告げる。そして徐々に、彼の内面の光景が浮き彫りにされていく。
主人公は高松市の生まれ。31歳で結婚。妻は国際経済学を専攻する研究者で、小学生の娘が一人いる。
彼はこれまでに死に直面する二つの体験をしている。一つは8年前に生後3カ月の長男を病死させてしまったこと。
もう一つは2年前に胃がんの手術をしたことだ。有能な編集者で、格差社会の現実に疑問を抱き、世の中の有り様を見据え、
なぜ、人は自分の思う通りに生きられないのかと考える主人公の心を死が縁取っているのは、この二つが要因になっている。
全編が死に染め上げられ、物語は緊張を帯びる。
ストーリーはいくつもの要素を含みこんで、大きく展開していく。
政権党の実力者の金銭スキャンダルを主人公の週刊誌がスクープし、それが社の内外に波紋をもたらす。
主人公の勤める出版社内の権力闘争、アルバイト女性をめぐる恋愛騒ぎ、人事に関するあつれき。
冒頭に登場したグラビアアイドルも、意外に重要な役割を担っていく。
(>>2以降へ続く)
■引用元:毎日jp 毎日新聞 2009年6月1日 東京夕刊
http://mainichi.jp/enta/art/news/20090601dde018040034000c.html
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